2004年1月08日（木）マチネ１階B列21番
＜キャスト＞
オペラ座の怪人：高井 治 クリスティーヌ・ダーエ：村田 恵理子
ラウル・シャニー子爵：内海 雅智 カルロッタ・ジュディチェルリ：河合 和代
メグ・ジリー：安食 智紀 マダム・ジリー：西島 美子
ムッシュー・アンド レ：林 和男 ムッシュー・フィルマン：青木 朗
ウバルド・ピアンジ：石井 健三 ムッシュー・レイエ： 長 裕二
ムッシュー・ルフェー ブル：深見 正博 ジョセフ・ブケー：宮本 力
楽しみと不安をないまぜにしつつ、やってきました2004年最初の福岡。
昨年最後のオペラ座が自分の中で少々不完全燃焼だったのをまだ引きずっているうえ、
その日記を前日に仕上げたせいで、また自分の中でそのときの感情がよみがえってしまい、
飛行機の中ではもぉボケまくりでお隣のおじさまには「気分が悪いの？大丈夫？」と心配される始末。
初めて飛行機に乗ったように見えたそうな･･･ああ情けない(><)
客席に入ったら･･･赤いですね。
しっかり客席が埋まっているのは１階センターブロックだけ、その１階センターも
後方はかなりすいております。平日マチネとはいえ･･･むぅ☆
お初の内海ラウル。
じーさんのしぐさにはちょっぴり佐野さんを感じさせたかな？
ぎこちない仕草が、実際の年齢以上に年老いてしまった
彼の精神的・肉体的な老いを感じさせてくれたように思います。
シャンデリアがまばゆく光り･･･Overtureへ。
鳥かごランプをしまいに来たスタッフさんが思いっきりフツーのカッコ…黒のスタッフジャンパー姿で
堂々と引き上げていったのが、すごく目立っていたんですが･･･いつもそうだったかしら？
シャンデリアの後始末をするスタッフさんはちゃんとそれっぽい格好をしてるだけに、
ちょっと目立ちますね。
プロセニアムの幕を引き上げるときも、スムーズに行かなかったらしくて上手のソデで
スタッフさんが一所懸命引っ張っておりました(^^);
京都では望むべくもなかったこの席…ああ、福岡では贅沢してるよなぁ。
でもやっぱりプロンプターがとってもジャマ。
ハンニバルで下手から登場して舞台奥の中央に立つカルロッタがちょうどすっぽり隠れてしまいます。
お久しぶりの石井ピアンジ･･･ああ、やっぱりかわいいーっ☆
むくむくのテディベアみたいですわおじさま〜（笑）
「ロォォォム♪」のところで、「これでいいんでしょっ？」とばかりにレイエ先生に向かって
ひとさし指をふるのがなんとも愛らしゅうございます。
長レイエ先生、固さはだいぶ取れてまいりましたものの、ちょっと突き放したような物言いは
相変わらずな感じですね。
理論派な演出主任さまなのかしら、頭の中に完璧なシナリオが収められていて、
自分の思うとおりにコトが進められればそれでOK･･･という感が無きにしもあらず。
でもね主任、役者さんはチェスの駒ではございませんことよ〜？
Little Lotte。
クリスの楽屋で、扉を閉めるときの子爵さまの表情。再会の喜びの表情なんですが･･･
なんだか下心を感じてしまったのはワタクシだけでしょうか（笑）
おまけに･･･えーいラウルっ、嬉しいのはわかったから
クリスが「パパは亡くなったけれど･･･」と言ってるときまで
ニコニコしながらうんうん頷いているんぢゃない！
佐野ラウルみたく、一瞬まじめな表情になっていただきたいなぁと思うのは…
まだ、時期尚早というものなのでしょうね。
佐野さんから指導を受けていたのを拝見したんで、どうしても佐野さんの面影を
どこかに探してしまうんですが、
基本的にはどなたのラウルとも違う子爵さまだったように思います。
そんな中で村田クリスは、ひとり安定した演技を続けていらしたように思います。
観ていて余計な気をもまなくてすむクリスティーヌ（…褒め言葉になってるんだかなってないんだか）
The mirror。
少し上段に構えた、余裕を持ったファントムさまの挑発。
鏡の中のAngel of music はいつもより伏し目がちの優しげな視線でクリスを誘っておりました。
The music of the night
あまり力がこもっていない…さらーっとした夜の調べでしたね。
穏やかといえば穏やか。
クリスにマントをかけた後、ふと眼を細めた表情が少しせつなげでよかったなぁ。
でも…なんだか…いつもと違う違和感を高井ファントムに感じてしまう。
なんなんでしょ？
プリマ・ドンナ。
悪目立ちってくらい目立ちますわね子爵さま。
クリスに逢えない苛立ちや、要領を得ない支配人たちと、得体の知れない
ファントムへの怒りを表すには怒鳴りゃあいいってもんではございません。
まだまだ段取り（特にここでは決まった動きが要求されるからかな？）
を追うので精一杯なのが見て取れますね。
時折ラウルの仮面が外れて、内海さんの素顔が現れるような気がしました。
それぞれが明後日の方向を向きながら動き回るこのシーンと同じで、
それぞれのベクトルが微妙にずれてる気がする今日の舞台でございます。
All I ask of you。
…誰だよ、２列目センター付近でいびきかいてるのはっ！
いや、ワタクシも眠くなかったかと聞かれると視線が泳いじゃいますけどね（笑）
クリスの動き（もちろんその心の動きも含めて）を扱いかねているように見えているラウル。
ファントムの呼びかけに、周囲を探し回るうち泣き出してしまうクリスを、
しばらく立ち尽くしたまま見ているのってどうなんでしょう…
眉根をよせたまま、幕間の休憩が過ぎてゆき…
マスカレードは港さんのシャム男を追っかけているうちに終わるし（泣）
さらに、低いままのテンションを低くさせる、マスカレード後のマダムとラウルのやりとり。
いくらなんでも乱暴すぎますわよ子爵さま！
せっぱつまった彼の気持ちをよくあらわしてるとは思うのですが…腕をつかんで引きずり回すように
見えてしまうのはいただけない。
支配人のオフィス再び。
林アンドレが青木フィルマンから手紙を受け損ねるのを見てしまいました。
ここから「墓場にて」まで見ていて思ったのは、内海ラウル、どうも周囲より動きがフライングするようです。
遅れないように、と一生懸命動きをなぞっているからでしょうか。
墓場でも、ずいぶん早くから長いことファントムを指差していたしなぁ…
The point of noreturn。
動きにいつもより熱を感じないファントム。
それでいて、声はなんだかなまめかしくて。
「声」で操を奪われようとしているクリスティーヌがなんとも危なげです。
しかし…高井さん、手になにか塗っていらっしゃるのかしらん、村田嬢の手より
白く見えるって一体…（笑）
Dawn once more。
嗚呼無情…違った☆無表情。
３人見事にばらっばら。
怒鳴りはするものの、表情は氷点下のシベリアのツングースを思わせる素敵に無表情な高井ファントム、
ひとり、いつもどおりにラウルをかばい、ファントムに懇願し、最後の行動に出る村田クリス。
子どもがじわじわと理不尽な仕打ちを受けて、顔をゆがめて泣いてるような内海ラウル。
ああ…なんなのでしょう、この空虚さは。
気がつけば30回を越えた観劇回数の中で、いちばんさらーっと終わっちゃった気がします。
拍手するのも忘れかけたくらい。
もちろん、観る側のテンションが異常に低かったのもありますけど、それにしたって…という気持ち。
あれだけ、声と感情が重なってない…言い方が悪いけど「ファントムの心」が感じられなかったことは
今までになかったですね。
心ここにあらず、いったい何を考えて舞台の上にいらしたのかとお聞きしたくもなります(-_-)☆
役者さんだって人間ですから、常に完璧でないのは当たり前ですが…自分以外の観客の方々が
アレを観てどう感じられたのか…ちょっぴり気になる舞台でございました。
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