2004年02月05日(木)マチネ1階B列15番
 

<キャスト>
 

オペラ座の怪人:高井 治          クリスティーヌ・ダーエ:沼尾 みゆき
ラウル・シャニー子爵:内海 雅智      カルロッタ・ジュディチェルリ:種子島 美樹

メグ・ジリー:安食 智紀            マダム・ジリー:西島 美子
ムッシュー・アンド レ:林 和男        ムッシュー・フィルマン:青木 朗
ウバルド・ピアンジ:半場 俊一郎       ムッシュー・レイエ: 長 裕二
ムッシュー・ルフェー ブル:深見 正博   ジョセフ・ブケー:宮本 力



浅い眠りの中で、ずいぶん揺れるなぁと思っておりましたら・・・
降り立った福岡空港は視界が真っ白でした…ひぇぇ☆


今日は、なにかの団体、もしくは招待客の方が多かったのかな、
50〜60代くらいの、演目どころかミュージカル初体験風のおじさま・おばさまが多かったです。
時期が時期のせいか、お孫さんだか知人のお子さんだかの受験のハナシなどがそこここで飛び交ってました(笑)


福岡でも1度は座りたかったこのお席。
開演までの間、思わず京都を懐かしく思い出しておりました。


種子島カルロッタ&半場ピアンジ、いかにもオペラちっくな組み合わせとなっております。
表情はおとなしめながら、歌は聞かせてくださるカルロッタさま。


久方ぶりの沼尾クリス。
あれ・・・沼尾嬢ってこんなに声太めだったっけ?


ま、それはさておきなんと申しますか、「等身大の女の子」なんですね。
ひとくちに「夢見る」と申しましても、

空想やファンタジーの世界にひたるのも「夢見るオンナノコ」ですし
人気アイドルや漫画、流行のメイクや小物などに夢中になって友達なんかと
きゃいきゃいするのも「夢見るオンナノコ」と言っていいと思うし。
後者の「夢見る」ならしっくりくるんだけどな〜。


通常言われるところの「夢見がち」で「儚げ」な少女というクリスとしての方向性。
毎回拝見するたびに・・・あえて、彼女はそれを目指そうとしていないような気がしてしまう。
彼女の持つ、クリスティーヌ像をお聞きしたくなりますねぇ。
メグの後ろに恥かしそうに隠れそうなクリスティーヌじゃないことは確かですね。


Little Lotte。
ラウルの手紙を読み「・・・なんのことかしら」とつぶやく彼女。
うう、まっこと申し訳ないのですが、への字口にくわえて、そう・・・突き放すように
言われてしまうとちょっとラウルが気の毒になりまする☆


で、高井ファントムさま。
今日は・・・なんと申せばよろしいのやら。
とにかく、「The Mirror」から違ってまして。
声だけで威嚇・・・もとい、威圧されております。


あの・・・忘れようたって忘れられない(しつこくてごめんなさいね?^^;)
京都でお会いしたファントムさまが、そこにいらしたような気がします。


何よりも愛しい人を自分の世界へ連れてきた・・・抑えようにも抑えられない心の昂ぶり。
オルガンの前に立ち、クリスティーヌへと歌いかけるその表情は・・・うわぁぁ☆ってなカンジでございました。


なんだろう・・・ファントムが、というより素の高井さん自身が何かに・・・
熱に浮かされているような、そんなカンジにも取れて。

もしかして、熱でも出していらしたんじゃないかとちょっと心配になったり(ォィ!)
それとも、どなたかお知り合いがいらしてご覧になってるとか(殴☆)


・・・ちったぁ素直に観なさいってやつですね、失礼いたしました。


支配人のオフィス〜プリマ・ドンナ。
安定はしているものの、好調というには少々覇気に欠けてしまう支配人さまがた。
結局交替のないロングラン状態驀進中ですものね、見守りつつ・・・なんだか祈るような気分になってしまいます。


種子島カルロッタ、パワーがないのは否めませんが、品の良さが垣間見える・・・
こう、お育ちのいいお嬢様だった頃が偲ばれると申しましょうか(笑)
河合カルロッタとは別の意味でかわいいプリマ・ドンナでございまする。


でも、沼尾クリスとだと・・・クリスのほうが勝っちゃいそうだわ(爆)


イル・ムート。
セラフィーモの表情や男の子っぽさは、沼尾さんホントお得意ですね。
ベッドに座って、腕組しつつ足を振るトコ、おにんぎょさんみたいでかわいいったらもうっ☆


「口きかないで〜♪」のカウンテス・カルロッタにむかって眼を伏せ、口をかぱっ☆とあけつつ、
その前で指を振る仕草。「ええ奥様承知いたしておりますともっ♪」ってなカンジでホントかわいい。


All I ask of you。
おお、内海ラウルと沼尾クリスってばお似合いっ(爆)
19世紀末ってーより、現代でしっかり通じそうなカップルです。
身分も育ってきた環境の違いも感じられません・・・うーむ。
この二人とファントムさまが相対するとどうなるのか・・・ちょっとこわいぞっと。


マスカレード。
さすがに、ちょっと動きがつかめないのか沼尾さんの動きがもったりしておりまして・・・リフトがぐらり☆
アンドレさんも派手にドン・ファンの楽譜を落としてしまいました。
しかし・・・ここで涙ぬぐいながら観てるのってワタクシくらいでしょうねぇ(-_-);


支配人のオフィス再び。
うーん、カルロッタの怒りが弱いですね。
嫌っっ!っていう感情全開のクリスと向き合ったら・・・やっぱ負けるかも。


2幕を通して沼尾クリスを観ていきますと・・・
ファントムに対する畏敬のまざった恐れ、正体を知ってからの恐怖、悲しみ・怒り・・・
そういった感情をあらわす手段が実に乏しい気がしてしまう。
マイナスな感情の表現がなんか・・・ぜーんぶ一緒に見えてしまうように思うんです。


それが逆に、精神的に未熟な少女・・・言い方が悪いですけど底が透けて見えてしまう精神構造にも感じられたりして。
うう、ただでさえクリスティーヌという女性はワケがわからなくて、同性としては苦手な
タイプなんですが・・・ああ、お友達になると大変かも、と思ってしまう。


高井ファントムさまは、1幕に比べると幾分失速気味の感もありましたが
(いや、1幕が飛ばしすぎたのよ〜ってハナシも・・・)
それでも押し出しの強いThe point of noreturn。
ああ、沼尾クリスってばやっぱ手つきがとんでもなく色っぽい。


村田クリスだと、まだ見ぬ出来事を想像し思わず身悶える・・・といったカンジですが
彼女の場合は、自分の記憶の追体験というカンジで手を這わせるように見えるんですもの。


Dawn once more。
勢いのある、焼けつくような怒りと絶望の中にかすかな、本当にかすかな哀しみをこめた表情。
心持ちいつもより眼が大きく見開かれていて・・・表情だけで焦燥感がじわじわ伝わってきそう。


三つ巴の均衡・・・というよりもクリス&ラウルVSファントムという状態なんですが
それをファントムさましっかり受けて立っちゃってます。
普段の高井ファントムなら・・・負けるかもってくらいの押しなんですが、負けてません。
3人が3人ともがんがんと感情全開押しまくり状態。


ラウルはただただ、勧善懲悪の正義の主人公のように。
クリスは、悲劇に自分の足で立ち向かう女主人公のように。
ファントムは・・・二人にとっての自分の役割・・・「悪役」という役割を自ら進んで演じているようにも見えて。


そんな状態を一瞬にしてぶち壊す彼女の「キス」。
わたしの心、と言いながら彼女自身もなにをしようとしてたのかわからない、
究極の精神状態の中で、ホントに衝動でやってしまった・・・というようにも見えました。


ああ、でもやっぱりあのキスでは彼女の心はわからない(泣)
抱きしめるっつーよりも、がしっ☆と羽交い絞めだしさ。


「わが愛は終わりぬ・・・」


「ここで歌わなきゃいけないから、脚本に沿って歌う」のではなく、
魂の底からあふれてきた「今、終わったのだ・・・すべてが」という叫び。
こっちの心も鷲掴みにされるような、叫びでございました。


強いぞファントム!
でもクリスも強いぞ!(爆)


・・・もう正直申し上げまして、10週を越える今になって
こんなアツいファントムさまを拝見するとは思ってませんでした。
それがいいか悪いかは置いておきまして、どこにそんな力が残ってるのよ?と。


尊敬と親愛の情をこめて、
「この、化け物っ!」と言わせていただきとうございます☆
 
 
 
 
 
 

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