2004年03月18日（木）マチネ１階H列17番
＜キャスト＞
オペラ座の怪人：高井 治 クリスティーヌ・ダーエ：村田 恵理子
ラウル・シャニー子爵：内海 雅智 カルロッタ・ジュディチェルリ：河合 和代
メグ・ジリー：荒井 香織 マダム・ジリー：西島 美子
ムッシュー・アンド レ：林 和男 ムッシュー・フィルマン：青木 朗
ウバルド・ピアンジ：半場 俊一郎 ムッシュー・レイエ： 長 裕二
ムッシュー・ルフェー ブル：喜納 兼徳 ジョセフ・ブケー：宮本 力
これが最後の「思い立ったが前日予約」。
おそらく、このまま楽まで高井さんだろうなぁと思いつつも、それを信じて
前楽にかけるような忍耐は…ええ、ワタクシにゃあございません（泣）
いかんなぁ、と思いつつちょっと…いやかなり寝不足の朝。
踏みしめる床がなんだかふわふわしているような…（汗）
ふらり立ち寄ったハイアットの某花屋さん。
とうとう顔を覚えられてしまいました（爆）
お姉さんありがとう…でも、もう来ることはないと思うんです…ごめんなさい☆
さて、気もそぞろながら心は100年前のオークション会場へ。
喜納オークショナー、前回お会いしたよりも自然になってまいりましたね。
品の良い口上が続きます。
まぁ、確かに登場する品物よりオークショナーが目立っちゃいけないわけで、
主役たる品物を前面に押し出す名脇役といったところでしょうか。
ただ、シャンデリアの点灯シーンで
スイッチを大きく振りかぶりすぎるのがちょっといただけない。
そこまで流れるように動いていた一連の動作が、そこでぷつっ☆とぶった切られてしまうのです。
喜納さんなら動作は控えめに、少々長いかと思えるような間の取り方とその口上で
充分ドラマティックにあの場面を見せられると思うのですが。
ハンニバル。
不自然なほど綺麗にまとまっている（笑）四季のアンサンブル。
今日はすこしばらつきが目立ったかな。
でも、これくらいばらばらしているほうが、リハーサルっぽい気もします。
ロンドンなんて、ホントばたばたしてましたから（笑）
うう、やはり荒井メグに目が行っちゃうな。
クリスを心配そうに見やったり、そっと小声で声をかけたり…嗚呼可愛いぃぃ。
気分はパトロン志願のバカ貴族（爆）
村田クリス…そつはないものの、底にほんのりたまった澱のような、
疲れのようなものを感じてしまいます。
曖昧な透明感。
夢見る瞳を覗き込んだら、底なし沼の虚無を見てしまったような…なんのこっちゃ。
内海ラウルも、少し…いや、かなりお疲れはたまってると思いますですよ。
お声のざらつきが少し痛々しい。
…で、今日の暴走はこの方のために。
彼女の成功をしてやったりとばかりにほくそえむ、自称（一部他称の）音楽の天使。
純粋な祝福というよりは、彼自身の欲と打算が垣間見える「ブラヴァ」ですね。
とにかく、お声は問題なく復活の模様。
豊かにうねるその響きは、まるで舞台を広がっていくのが目にも見えるようです。
表情も「どぉどぉ☆」となだめたくなるような勢いと自信に満ちた歓びの表情。
口角はあがり、目は見開きっぱなし。
クリスとして隣にいたら…ちょっとひくかもしれない（笑）
「新しい未知の世界へ ふたりで旅立つのだ…♪」
”ふたりで”…というところでこれ以上はないってくらい目を見開き、
陶酔した表情で歌い上げ…なんだか赤面。
こう、他人様の求愛シーンに偶然出くわしてしまったような、もしくはこっそり覗き見しているような（爆）
そんな気まずさと恥かしさに思いっきり襲われてしまいました…あー恥かしかった(^^);
もう、自分の世界に思いっきりひたってる「Music of the night」だったように思います。
クリスがそこにいるのも忘れているんじゃないか？というくらいでしたね（ォィ）
ただ、お歌自身はすこしヒヤッとするところも。
「闇を治める わたしの力に わたしの音楽に…♪」
「おんがく」というところで、喉になにかがからんでしまったような、
ひっくり返ったまではいかないんですが、レコードの針飛びのような状態になってました。
アンマスクシーン。
おやっ？と思ってしまうほど、いつもよりはトーンダウンな怒り。
個人的には、瞬間的に怒りのボルテージを上げるだけ上げてもらったほうが
その後の哀れさや悲しみが際立ってきて胸に来るんですが…
あくまで好みの問題ではありますが、歌い上げられてしまうとちょっと物足りない。
でも、ここでのひたむきな瞳と「クリスティーヌ…」というささやきはとてもとても好き。
マスクをつけた後、手を広げてクリスに近寄って…まるで一幅の絵のようです。
プリマ・ドンナ。
今日のこのシーンは、なんと申しますか今日の舞台全体を表わしていたように思えます。
それぞれが別の方向を向いてて、別の思惑を心に秘めながら歌う七重唱。
河合カルロッタ、なんだか悪目立ちってくらいの勢いでどこまでも突っ走っておりました。
西島マダム…お腹から押し出す歌声はともかく、台詞回しが少々辛そうです。
思えば、主要キャストにほとんど代えのない状態できた７ヶ月。
満身創痍なのは皆さん同じなんだろうなとも思います。
イル・ムート。
港伯爵って、須郷さんに比べるとお声が柔らかで優しい。
真綿でくるむようなカンジと申しましょうか。
今日の村田セラフィーモは、ベッドの上で左右に振る両足が乱暴でなんとも
男の子っぽくて可愛いです（笑）
荒井メグも、表情がお茶目で好き?♪
「ドン・ファンの勝利」でも、きゃらきゃらと笑いながら出てくる様子が
…ホントは情事の後のはずなんですけど(^^)；艶っぽさというよりはもう毎度ありーっ♪ってな
カンジであまりの邪気のなさというかあっけらかんとした様子が微笑ましくて笑ってしまいます。
さてさて、久しぶりに少し後方から拝見する「嘆きの天使」。
仮面の奥の瞳は色もなく、片方の瞳は下から照らされるライトに時折きらりと光って。
何というか…美しくて哀しくて怖い瞳。
あの瞳…欲しいなぁなんておバカなことを思っているうちに…幕間。
やっぱ、少しくらい後方からのほうが全体見やすいよね、うん。
マスカレード。
今日は少し肩の力を抜いて観る事ができたかもしれません…いつもガッチガチですから（笑）
脇を固める長さんや喜納さん、アンサンブルのお嬢さんたちが楽しそうにマダムの周囲に
集まってご挨拶してるのを眺めてました。
後半、支配人のオフィス再びから最後のシーンまで。
なんとなく、ホントになんとなくなんですが「プリマ・ドンナ」で感じたことがやはりよみがえってきて。
同じ舞台にいながら、向いてる方向やベクトルがてんでばらばらな演技という
イメージが抜けない。
テンションもかなりばらばらで、なんとなくかすかな不協和音を感じてしまいます。
観客に対して…というのも、もちろんなんですが。
同じ舞台の上に立つ相手に、何を伝えたいのかが見えてこない、そんな気がしてしまった。
これは、今日の主役お三方にも同じことが言えるように思います。
ファントムは当然ながら誰よりもクリスティーヌに自分をわかって欲しいはず。
でも彼の気持ちは…今日はちょっと響いてきませんでした。
クリスやラウルも然り。
ラウルはクリスに何を求めているのか、クリスは何をファントムに伝えようとしているのか。
墓場にて。
ラウルが現れたことで、なんとも嬉しそうに悪役を演じるファントムさま。
悠長に煽ってるヒマがあったら、そこでヤツの息の根を止めておしまいなさい、と
後ろからこれまた煽りたくなるおたわけ１名。
どうせ手に入らないならそれもアリでしょうってことで（コラコラ）
１幕の勢いはどこへやら（笑）、The point of noreturn から少々トーンダウンしてしまった。
ファントムさま、劇中劇の甘い誘惑の中にかすかな願いと不安が混じって。
追い詰められていくうちに、徐々に心を閉ざしていくその表情がすうっと色を失っていきます。
なかばあきらめかけ、幕を引きずり下ろそうとした身を優しく包んだもの。
無理矢理剥がすようにクリスから離れたその激しさが、彼のショックといいますか、
衝撃の強さを表わしているようにも思えました。
ふたりを送り出してからI love you …まで。
普段より幾分静かめでさらりとしていたように感じましたね。
玉座に消えるものの、ひっそりとどこかでまだ生きていそうな気もしなくもなく。
楽までいよいよあと10日間。
正直、舞台も観客側もまだまだ楽モードではないのが少々悲しい。
追いかけていくことができないのは残念ですが、
10日後の再会を楽しみに福岡を後にしたstellaでございました。
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