虚無の空間
闇をまとった 魂がひとつ
当然のように
あたりにはなにもなく
彼は独り
笑顔の下に
蔑みがあることを知る人はいても
蔑みの下に
何があるのか知ろうとする人はいない
助けを求める 彼の声の前に
人々は皆 聴覚を持たなくなる
蜘蛛の糸に支えられた 傲慢な独裁者
彼は人々を冷たく世界から排除する
（その中に どれだけせつない
やさしさと弱さが秘められていることか！）
人々は皆 彼を怖れる
お互いの創りあげた 異空間の中で
時間（とき）の檻の中
彼はただ 待つ
自分だけの救世主(メシア)を
浮かぶ涙すらもうなくて
2003/05/10
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