愚かで愛しい
わたしのクリスティーヌ
 

おまえは私が気づいてないとでも思ったのか?
 

私の歌を聞くとき、おまえが見せるその恍惚とした表情
その中に一瞬垣間見せる焼けつくようなまなざし
 

それは おのれの本分を越えた 
さらに輝かしく 素晴らしいものを知ってしまったとき
心の中に生まれる「絶望」と「嫉み」
 

その眼差しをもっと私にむけるがいい
欲というものほど ヒトを向上させるものはない
 

その眼差しは「天使」への敬慕でもなく
「父親」への思慕でもなく
間違いなく「私」に向けられる羨望
 

「音楽の天使」と呼びながら、無意識におまえは
「声」からなにかを感じ取っているのだ
 

甘く美しい歌の中にひとしずく
私は毒をたらしこもう
毒は 内側からにじみだし
心も身体もからめとっていくだろう
 

二人を隔てるものは徐々になくなり
翼をたたんだ天使は 地に堕ちる



そのときこそ
ふたりは同じ世界に住まうもの
 

おまえはわたしのもの
 
 
 

イnn

03/10/26
 
 
 
 
 
 
 
 

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